なんだかわからないことやってみる:不等辺四辺形の星々はどこまで認識できるか?
1.これ、なーんだ?
答え:オリオン座M42の不等辺四辺形、トラペジウムです。大気差で色がついてるようです。
極力飽和しないように撮影しました。
セレストロンC5、ASI533MCpro、ASIAIRpro、SIGHTRONさんのQBPフィルタ。AZ-GTi赤道儀モード。
5秒露光を100枚をLIVEスタック。ASIAIRproでカメラゲインはLOWにしました。
スタック数が100枚と多いのは、ウェーブレット処理を考えてのことです。滑らかな画像が経験的に良いようです。
この機材の組み合わせで、プレートソルビング連動の自動導入がなんとか機能しました。限界に近く、GOTO1回目は考え込んでも、2度3度連続GOTOさせているうちに、ほぼど真ん中導入できました。とても便利です。ASIAIRproのプレートソルビング画面には、焦点距離1190mm、画角0.54度×0.54度と表示されました。こんな機能も隠れているんですね。
小生としては究極の精度を目指しました。オートガイドですが、AZ-GTi赤道儀モードはときどき暴れるので、その気配があるとそのコマはスタックしないように、ずっとグラフの気配を全力注視しながら撮影しました。素晴らしく労多くて、なんだかなあ。
機材は窓の外のベランダにあります。幸い、無線で操作できますが、窓ガラス越しだとASIAIRproの電波が弱く、窓に貼りつくようにして作業です。ガラスを通してすら、冷気がとても寒かったです。
2.明るさを調節する
TIFデータをYIMGに入れると、一見真っ暗な画像ですが、トーンカーブを操作重ねると、画が出ます。こんな感じ。
トラペジウムがまぶしく丸く太ってます。露光時間、気流、架台精度、シュミカセの精度の問題もありますよね。
祭りの提灯のように光ります。音もなく、神秘的美しさを感じます。複数露光時間によるHDR撮影とかやってません。
中心部を切り出し、3倍にオーバーサンプリングしたのち、輝度をやや暗く調整しました。後の強調作業で輝度がすぐに飽和しないように少しだけ抵抗するためです。
スタック後の画像を再サンプリングするのはおかしい方法です。本来は、個々の画像を再サンプリング後にバッチ組んで加算するとかしないと意味がほとんどないのですが、そこまで律儀にするのはめんどーなので、手抜きしました。
こんな感じ。E星、F星が少しだけダルマ状に出っ張って、存在の気配が感じられます。
3.炙り出す
YIMGを用いて、ボケ補正、ウェーブレット処理、ノイズ除去、トーンカーブ調整を繰り返し、こんな画像になりました。
4.多重星認識できるか?
拡大します。 ネット上のスカイアンドテレスコープ社の図に合わせて、方向を逆転しておきます。
小さい星がいくつか見えます。神秘です。ここは星が次々誕生している領域だと聞きます。酵母菌の出芽風景ではありません。
ネットの図をもとに同定すると、こんな感じ。
I星は、C星に隠れてしまってるようで、見えません。H1,H2星は、分離はしませんが、見えてるようです。
画像が美しいかどうかは別として、5インチシュミカセでも、かなり暗い星まで「認識」はできたようです。
4.おまけ
FC65で撮影したトラペジウム付近の動画です。
QBPフィルタ使用、ひとこま当たり300ミリ秒くらいの露光だったと思います。
(了)
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