長文注意:昭和臭的工作:AZ-GTi用赤緯軸安定板1号、2号
1.全力工作:自己責任の世界です。
AZ-GTiは、大変コスパの良い機材です。おかげさまで、未知への経験がいっぱい楽しめています。感謝。
今回は、赤緯軸ガタをかなり抑制し、剛性向上しました。軸回転も以前よりも滑らかです。
また、オートガイド精度向上にも効果がある印象です。他方、軸偏芯・曲がり調整が顕在化し、自分には調整ほぼ困難です。
しばらくこの状態で試したくなりました。架台更新支出は当分遅れそうで、奥さんは多分喜ぶでしょう。(でも、玄関先でガリガリやっているのを敵視しておりました。)
さて、AZ-GTiは上下動軸(赤緯軸)が、片持ちの薄い滑り軸受により保持される構造です。なので、必然的に若干のガタがあり、荷重が偏ると軸が傾きます。
ただし、通常の使用では無改造のままで問題無いと思います。安心してください。
他方、小生のような長焦点直焦変態・過積載等の逸般の誤家庭人には、無視できないのです。
ガタは、鏡筒方向の不安定、摩擦によるオートガイド不安定、風による振動に弱い、等の原因であろうと感じております。また、小生のように長期間酷使していると、摩耗して更にガタが増えているかもしれません。
赤緯軸のガタ・傾きを抑制する改造方法を2年前からイメージしていたのですが、めんどーなので今まで手を付けませんでした。
しかーし、ツイッター界でみなさん楽しくポチリヌス菌に感染されているようであり、他方、耐性がある?小生はささやかに、モノタロウさんで単価数百円のボールベアリングやドリル刃セットをポチったり、ジョイフル本田さんにお出かけしたりしたのでした。
なお、昭和枯れすすきという曲がありますが、自分は特にファンではありません。
(赤緯軸のガタについては、本記事の文末に思いついた参考事項を書いておきます。)
AZ-GTiはポピュラーですし、ショップなどからも面白そうな関連パーツが企画販売されています。小生も昔アイベルさんからだったと思いますが、カウンターウェイト軸を購入し、しっかりした精度も良い品です。
今回工作みたいなのも、パーツ全部セットで売り出されないかな? でも小生には、AZ-GTi穴あけや軸調整が難度高かったから、クレームの嵐だろうなあ。ムリイ。
お手軽機材分野では、そのうち、ガタに配慮された新機種や改善機種も登場するのではないでしょうか。先が楽しみです。
2.作品
AZ-GTi用赤緯軸安定板2号(ASIAIR同架機能付き)
3.使用形態
1号機、12ミリ径ズンギリねじの軸の場合。
ベアリングを交換すれば、ショップから購入のAZ-GTi用20ミリ径ステンレス製カウンターウェイト軸も付けられます。
アルミ板は薄く開口部もあるため弱く見えますが、屈曲・伸長には、ベアリングや軸への固定で抑制されるため、意外と高剛性です。 薄いがために、軸の偏芯等を若干いなしてくれるメリットがあります。
2号機も同じ穴位置です。
2号機、ASIAIRを同架したところ
いいかげんに固定します。
4.工作
安全第一です。改造は自己責任です。
道具は写真の通りですが、他に、細いヤスリをネジ用の穴の微修正に使っています。
手袋は、たまたま庭いじり用ですが、これでなく、革製のほうが安全と思います。
仮に電動工具を使う場合、ゴムは巻き込まれやすいと思います。
お店で売られていた10×20cmくらいの厚さ1mmアルミ板をそのまま利用しました。
穴の位置などは、実際に型紙をAZ-GTiに押し当てたりして、実寸・フリーハンドで決めました。いい加減至極。
ハンドドリル、金切バサミで穴あけ、ヤスリで成形です。
曲げるのはペンチでは無理だったので、コンクリの角にアルミ板をあてがってゴムづちで叩いて曲げました。
5.工作のその他のポイント
(1)アルミ板をAZ-GTi筐体に固定するねじ
自分の機材は、ねじ・板のでっぱりを合計3ミリ以下にする必要がありました。そこで、低い頭のねじをモノタロウさんで購入し、4本でかなりしっかり固定しつつ厚さ2ミリに抑えました。
また、ナットは、雑ですが、エポキシ系接着剤を用いて、空回りしないように筐体に固定しましした。(強度耐久性は未知です。)
なお、青い金具は、昔、胎内星まつりでSS-Oneほんまかさんのブースで購入したものです。ずっと使っています。2本ねじで、ぐるりん防止加工済みです。
エポキシ系接着剤でナット固定
(2)赤緯軸の偏芯・曲がり対策:妥協
赤緯軸のガタは消えました。しかし、かえって顕在化した問題があります。
それは、赤緯軸を回転すると、軸がフラダンスを踊るような挙動を示し、アルミ板がグニョングニョン曲がることです。回転抵抗のトルクも変動します。やはり、ほんとは、ちゃんとした設計製造の赤道儀が良いのです。
赤緯軸の偏芯と曲がりが顕在化してしまったのです。アルミ板の弾性で無理無理いなしている状態です。これはいけません。しかし、小生には完全解決は困難でした。
なので、本体への軸固定と、ベアリングの2種のねじ締めを、3次元的な位置、軸との角度位置も変えながら、少しずつ慎重に行って、総合的にトルク変動が少なくなるように極力調整しました。アルミ板の僅かなねじれは発生しますが、ここで妥協です。また、日時が経つにつれ、挙動も摩擦トルク変動も安定化しているように感じます。
偏心・曲がり調整は、12ミリ径ズンギリねじ軸の場合に特に難しかったです。ショップが企画販売している20mm径のステンレス製軸を使用する方がかなり精度が良く、吉と感じました。
ベアリング外面が球面になっていますが、ケースとの滑りは渋めで、赤道儀モードでオートガイド中に、調芯のためにククッと滑ることがあります。かえって瞬間的な両軸同時跳躍的動きが発生する原因となっている可能性もあると感じています。しかし、ガイド撮影時間の中でそのような現象は比較的希なため、全体としては、メリットが勝る印象です。
緩み止めを入れ、位置調整しつつアルミパイプを圧着することで、軸の曲がりを軽減すると同時に、不慮の軸の緩み回転をほぼ排除しています。
いくつかの試行錯誤を経て、今はこの形で落ち着いています。
5.オートガイドに与える効果:良いんじゃない?
まず、改造前、赤緯軸の補正を最大の100%・1秒周期、にして、あえて力いっぱい不安定にしたものです。極軸は合わせていなので、3度くらいずれていると思います。
赤緯軸の静摩擦が大きいためと思われ、モーターの回転力が長時間溜って限界を超えると、ズズッと大きく補正し、大きく行き過ぎます。
ハンチングとでも言うのでしょうか? 大局的には時間遅れと高ゲインによる不安定な状態と言えましょう。
改造後。同じく極軸合わせ無し、ゲイン100%・1秒周期も同じです。グラフの縦軸値が半分になっていますので、ハンチングの幅が40%くらいに減少したように感じます。滑り始めるまでの力の溜めも改善されるようですが、もっと大きな改善は、突き抜け(オーバーシュート)がほとんど抑制されているらしいことです。
補正板を付けていなかった時には、鏡筒の向きに合わせて偏荷重が偶然うまくいくと、とても良い赤緯軸ガイドをする瞬間がありました。しかし、長続きしませんでした。それに比べ、改造後は、どんなときでもある程度良い赤緯軸挙動が見られる印象があり、自分的には、改善されたと感じています。
でも、飛び跳ねることがあります。原因不明。
ベアリングの調芯機能でククッとなるときがあるため?
極軸が外れた状態でマルチスターガイドしているため?
パラメータをいじってみます。この場合、ハンチングはありますが、反対側へ大きく突き出すことはありません。
極軸を大体合わせ、フィードバックの周期やゲイン等の設定がうまく行くと、ハンチングが消え、かなり良いです。
(このときは、誤って恒星速ではなく月速で追尾してました。なのでDECが補正しまくり(笑))
6.参考:改造前赤緯軸受けの構造についての所感、赤緯軸安定すべきと思う理由
今回工作中に直径20mmの軸を上下に振らした写真2枚を重ねました。ガタ抑制のネジ締め付けは最弱にした状態ですので、ガタが目一杯大きく出ています。赤い印の差がガタです。この場合、角度にして2度くらいありそうです。
冒頭記したように、一般の使用であれば、多少のガタは特に問題ありません。価格、機材キャラクター等を総合して、バランスがとれた構造と思います。
しかし、小生のような、AZ-GTiで焦点距離1200とか1500mmでの直焦点オートガイドするには、ここは無視できないです。
また、プレートソルビングによる自動導入補正をいつでもすればよいのかもしれませんが、単純な自動導入においてテレスコープ・ウエストとイーストが入れ替わると、軸がガタのため動くのでしょう、鏡筒の向きが3度くらいずれるのは普通です。
また、風などの外乱に対し、縦入力でも横入力でも、斜め方向に大きく振動する傾向がありました。(今回改造では、この点は剛性が向上したと自負しております。)
このガタは、滑り軸受であること、製造上必要な公差、等のため、必要なものです。
蒸気機関車などの大重量滑り軸受の場合は、2か所で車軸を支えているし、良い方法です。
しかし、この機材の赤緯軸受は、摺動壁面がかなり狭い(10mmくらい?)単一の滑り軸受です。つまり、片持ち構造であることから、テレスコープウエストかつ東偏荷重などして、荷重中心が摺動面から外れると、赤緯軸がかなり傾き、摺動面が線・点接触的になり、同種のアルミどうしの超高圧接触的になり、油膜も酸化膜も破って金属アルミ同士が接触摩擦し、不安定かつ大きな摩擦係数を生じる状況が出始めるのではないかと思います。結果的に大きな静摩擦力から小さな動摩擦力への切り替わりが起こった瞬間に、ギアトレーンに溜まった力が一気に開放され、赤緯軸オートガイド不安定(主にハンチング)の原因のひとつになっているのではないか、と小生は感じています。
なお、AZ-GTiの極軸回転摺動部分の界面において、アルミ材同士で摩擦攪拌接合的な複雑な何かが起きて、危機的固着が発生したことを小生は2回経験しており、同じ金属の摩擦は要注意と思っています。
滑り軸受締め付けの構造:手前に、赤緯軸を筐体に圧着するために締め付けるリング状のネジとテフロンリングが写っています。
摺動面の壁は、約10ミリ厚くらい。
軸です。
赤緯軸を筐体に圧着するために締め付けるリング状のネジを調節することで、ガタをかなり抑制することが可能です。しかし、副作用として、ネジを締めすぎると回転が渋くなりすぎ、オートガイドの修正開始がますます時間遅れして、ハンチングも悪化し、かえってガイドが悪化する印象があります。
逆に、ねじを緩くすると、荷重状況によっては回転はおどろくほど楽になりますが、赤緯軸を動かすと赤経軸にまで影響して傾いてしまうことがありました。例えば、高倍率で灯火などを見ながら赤緯軸を上下すると、いわば、ひし形のヒステリシス状のブレを生じた経験をしています。緩め過ぎてもガイドエラーが大きくなる傾向を感じました。
また、長時間オートガイドを続けていますと、油膜が切れてくるのか、静止状態から回転開始する際に滑りが悪く、これまたハンチングを生じる印象がありました。
総じて、赤緯軸の回転を緩くかつ軸のガタを減らすことが良いだろうと思いました。これが今回改造の理由です。
(了)
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綾乃より
投稿: 綾乃 | 2025年4月15日 (火) 11時10分