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2020年7月11日 (土)

徒然臭(その1):AZ-GTiウォームギア調節論

大雨でこれ以上みんなが甚大な被害を受けませんように。

そして、被災された方々が、早期に生活が復旧されますように。

こころからお祈りしております。

 

今日のAZ-GTiのお姿

Img_4963

 

 

0.読むのがとてもめんどくさいであろう記事の巻頭言

徒然なるまゝに、日くらし、筒にむかひて、心に移りゆくよしなし事を、そこはかとなく書きつくれば、あやしうこそものぐるほしけれ。

 

(手持無沙汰に一日中望遠鏡と向かい合いつつ、心の中を通り過ぎてゆく、しょうもないことをてれてれと書きつけているうちに、なんとなく変態気分モリモリになってしまいました。:超訳)

 

 

AZ-GTiは、リーズナブルな価格ですが、頭脳を持っており、多種多様に実験的に楽しめること最強クラス。しかし、剛性・精度はあまり高くない。

シベットさん達による「オープン双天会」においても、多種の話題のひとつになっていました。

その場では特に述べなかったのですが、ちょっとだけ、乱文書きます。ご容赦を。

 

小生は、これまで数多のプチ改造を試行し、愚かな失敗を体験してきた。

特に記憶に残るのは、ウォームギアとウォームホイールの噛み合わせ向上を目指して、研磨砂を塗って800倍速し、自己研磨させたところ、理論的浅はかさに加え、かなりちょっとばかしやりすぎたため、ガタガタになって回復せず、「ああっ!」と心乱れたことであった。

過去記事はここ「今日も全力GTi:大安のM87JET氏」

その後、使用するたびにギアの隙間のカタカタ感触を思い知ることとなり、もののあはれを感じたのでありました。

で、現有機材(2号機(赤道専用)と、3号機(経緯台専用)の2台のAZ-GTi。初号機は、早期に不調となり2号機に交換となっています。)

をいじり、トータルとしての改善を目指します。


すなわち、

  • 2号機の削れたウォームのついた赤経モーターユニットを、経緯台専用にしている3号機の無傷の上下動モーターユニットと交換する
  • 2台のAZ-GTiのウォームホイールとウォームの接触具合を調節する(スプリングで圧着される構造を調節)

なお、本記事は、あくまでも小生の機材での、小生による経験についてのつたない情報提供であり、改造を勧めるものではありません。また、機材の個体差や小生の理解不足等による誤りや不適切な記述もありえます。改造や実験試行には、失敗はつきものです。保証も含め、あくまで自己責任の世界です。メーカーや関係者に本記事をよりどころに迷惑をかけてはいけませんよー。

 

1.モーターユニット交換の理由
AZ-GTiは合理的な部分が多いです。コンパクトなモータードライブユニット(モーター、減速ギアトレーン、ウォーム、アルミ製骨格、回転検出ローター等が一体化している)が、赤緯・赤経とも共通なのです。他にも、いくつかのパーツや、おそらく、回路や制御プログラムも、両軸共通部分は多いと思われます。

モータードライブユニット

Img_3837

 

Img_4935

 

(赤経軸、赤緯軸双方の共通事項)

モータードライブユニットは、黒い小型スプリングの張力によりウォームホイールに押し付けられ、ウォームとウォームホイールの隙間はゼロに保たれています。

したがって、ウォームとウォームホイールの間のガタに限っては、スプリングの限界(意外と弱い)を超えるトルクが極軸や赤緯軸にかからない限り、通常は、ゼロに近いです。(減速ギアについては、異なります。AZ-GTiは、ゴムみたいな弾性がギアトレーンに相当ありますし、また、歯の隙間によるバックラッシュもあると感じます。また、軸の荷重のかかる方向によっては、弾性と滑りの相互作用で追尾誤差が大きくなる可能性も感じます。赤経軸では、荷重を東側に偏らせるのが駆動上は一般的には吉と思います。(ただし本機の場合、そうでもない場合あり。)

 

(赤緯軸の事項)

赤緯軸はまた別です。

赤経軸は定常的に比較的早く回転するため、まだ良いのですが、赤緯軸はほんの少し修正されることから、別のややこしさがあります。

①オーバーシュート

つまり、PHD2とモーターが、誤差を修正しようと頑張るけれども、軸やギアの摺動摩擦によってなかなか動きださず、限界を超えてやっと動くと、弾性的に溜まったエネルギーが一気に開放されて、行き過ぎて、オーバーシュートを発生します。

また、ギアの遊びに由来するバックラッシュも修正しはじめるのに時間遅れを生じます。

対処としては、少しだけ極軸を自転軸からずらせるとともに、スプリングが効かないように僅かに隙間を空けて固定し、常に荷重を押し上げる一方向だけに少しだけ修正が発生するようにすることではないかなあ。これにより、ウォームの摩擦もスプリングで圧着される分がなくなるので楽になります。バックラッシュの誤差も防げます。

こういった力を加えると急にズッとずれる現象は、AZ-GTiの場合、不織布?製のシムリングにおいても、筐体を手で回転させるときに感じられます。

 Ra

②滑り軸受

また、AZ-GTiの赤緯軸の持つ、非対称片持ち的構造を支える薄い滑り軸受のために、これも、一般論は通じない場合もありました。

つまり、総合的には、鏡筒側を重くした方が、赤緯軸が滑らかに回転し、総合的に高精度な追尾になる場合が見られたのです。

おそらく、例えば、スラストローラーベアリングとかボールベアリングを多用した高精度な架台は、いろんな場面で、なめらかなのでしょうね。

 

③具体的今回取り組み

数か月間、ウォーム周りの改造やネジ固定方法等、いろいろあがいては見た。

しかーし、2号機は、ウォームが薄く削れてしまい、何とかしてスプリングで抑えてもフニャフニャガクガクは直りませんでした。

  • そこで今回は、重症である赤経モータードライブユニットのみを、経緯台機の正常な上下動用の同ユニットと交換しました。赤道儀用機の赤経ウォームホイールは、幸いそれほどひどくは削れていなかったのです。
  • 赤経ウォームホイールとウォームの圧着具合を調節。つまり、モータードライブのスプリング近辺についても、動きを抑制する調節をしました。
  • 経緯台専用機は、上下動については、スプリングを効かせず、隙間を持たせた状態でネジでウォームをリジッドに固定しました。なぜなら、経緯台モードの場合、鏡筒のお尻を重くする方向に荷重をずらすることにより、上下動の精度が安定してかつレスポンスも良好なことが多かったのです。従って、ガタの存在による追尾上の問題は、経緯台の上下動軸においてはほとんど生じないものだと予想します。

 

 

2.赤経ウォームホイールとウォームの圧着具合を調節する

Img_4939

 

既に触れた点ではありますが、

考慮すべき、ウォーム付近の基本的疑念が当初からありました。

つまり、スプリングでのウォーム圧着です。とてもシンプルです。しかし、・・・

極軸に一定以上の力が東方向にかかると、スプリングの力が負けて、意外と簡単にウォームが浮き上がります。一定限度以上は浮き上がりませんが、小生の場合、角度にして2度くらいは動いてしまいます。他方、西方向では、浮き上がりは生じません。現象は荷重方向によって非対称です。

自分の経験では、極軸東側の荷重を大きくした方が、ガイド精度が良いことが多かったので、東側を重くすることがどちらかといえば多いのですが、重すぎると、バネが浮き上がって不快でした。思いっきり浮きあげても、精度は良いのですが、精神衛生上よくないです。

また、先に述べましたが、鏡筒が東空を向いた状態でカウンターウェイトを重くしすぎると、実は、赤緯軸のすべり軸受の回転が小生の場合はステンレスシムリング化改造によって滑り軸受と相互に影響している点もあると思われますが、やもすると渋くなり、赤緯軸ガイド精度に悪影響が出るという、相反する状況もありました。

シムリングについては、

過去記事「今日も全力GTi :剛性追及、めたりっ子ちゃん(その1)」

 

そこで、対処です。つまり、バネによる可動範囲を、可能な限り狭くしました。

なお、ここにいたるまでには、スプリングを外して、何度も隙間を変えつつ固くネジを固定したりするという、秘密のあっこちゃんの悪戦苦闘の失敗がありました。

  • 例えば、狭くし過ぎると、機械加工精度不足や剛性不足のためと思われますが、極軸回転の渋さが鏡筒重量や鏡筒位置によって非対称になり、ひどくするとモーターに過度の負担となります。
  • 他方、スプリングなしでネジを固く締めて隙間を広くして固定した場合は、オートガイドは好調ですが、子午線越えで鏡筒が反転するときや、重心が東と西で入れ替わる前後では、隙間による誤差で大きな角度変異を生じるため、対象天体が視野から大きく外れてしまい、運用に支障が出ました。イナバウアースタイルの運用で乗り切ることになりました。

 

バネによる改造前の可動範囲の写真です。上限と下限。ピンと丸い空隙をご覧ください。

Img_4937

Img_4936

 

結局、ピンの回りの隙間にアルミ片をはさみ、可動範囲をできるだけ小さくするのがよかろう、と思い、暴挙にいたりました。

結果は、下の写真。

試行錯誤の上、このように2枚はさんでます。これで、わずかに上下動の自由もあり、かつ、大きく動くことにはかなり抑制的あるいは一定以上は不可能な効果が生じます。鏡筒とウェイトの重量が通常の範囲では、極軸回転も苦しくなる音はせず、滑らかです。

また、ガイド精度は、RMS約2~3秒でした。

今のところ、以前より感触良くなって、オートガイドもなんとかなってる感じです。

 

Img_4938

 

3.おまけ

とっても恥ずかしい写真なんですけど、今回改造機により、SV BONYさんのSV305(UV/IRフィルター除去改造後)を使って、

1等星しか見えない空、それも東京方向に向けて、「創造の柱」が完璧ノーフィルターで写るのか、実験写した記念写真を載せておきます。

プレートソルビングが無ければ、長辺6ミリくらいの小さなセンサーに対象を入れることは、とてもできなかったでしょう。

 

高橋製作所FC65 (F8 FL=500mm)直焦点、、AZ-GTi赤道儀モード

ベランダから北極星は見えず、極軸は目測。

SharpCap にてgain3.0 , 8秒×300枚スタック(総露出2400秒)

ASIAIRproによるオートガイドあり(ガイド鏡FL=130mm)

ダーク、フラットなし

YIMG,nikon CNX2、ホットピクセル由来の極軸ずれによるすじ状のノイズ残ってます。

2020.6.29 02時

Stack_16bits_300frames_2400s_yimg1_cnx2_

 

元画像

Stack_16bits_300frames_2400s

 

 

(了)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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